教えられたこと

不況だ不況だといっても、世界を見渡せばもっと大変な国がいっぱいあるし、長い人生、順風満帆ばかりじゃないんだから、どんな時でも明るく前向きにやることだよ。



立場や状況は違っていても、人の本質や真価は無風や逆風のときに表れるものです。
イギリスかアメリカかは分からないが、こんな言葉があります。
Prosperity makes friends, adversity tries them.
(繁栄が友を作り、逆境がその真価を試す)
戦後はじめて、人も企業も国も、試される時代に入ってきたってことです。



リストラ(restructuring)と片仮名にして平気で使っているけど、日本語で「食い口減らし」と表現すれば本質が分かり易い。
豊田市に在る自動車会社はバブル期に「ケチな会社」と言われていましたが、今は「人を大事にする」といっている。
世間の動きと反対なことをしている方が健全なのかも知れません。



資本主義社会では、与えられたことを早く理解し、正確に記憶して、正しく解く(処理する)人材は必要です。
しかし、教育の中で、それらを得意とする人達だけが優秀な人だとしてきたことには、問題がある。
社会には、いろんな役割の人達が居てこそ成り立つんだから、個人の得意な分野を伸ばしたり、社会の中で色々な役割を持てるように、柔軟性のある人に育ってくれるように、励ますことだけでいいんだよ。



決められたことや経験したことに対しては、素早く適切に対応していく人は沢山いるから、マニュアル化しておくことは大事かもしれません。
しかし、新たな問題や初めて体験することに対しては、冷静に自の知恵で対処しなければなりません
それができる人は少ない。
与えられたことをどれだけ理解したか、どれだけ憶えたか、どれだけ解けたかを競争する教育は終わらせ、状況や立場に左右されず、自分で考え、判断し、意見を言い、応答し、行動していける人を育成すべきだね。
(株主が文句を言っても総会屋(用心棒)に頼むのではなく、自ら爽快に説得できるような社長でなくちゃ、資格は無いよ)
与えられたことさえ処理しておけば、右肩上がりに経済成長していく時代は終わったのだから、21世紀は自分で新たなことを考え、チャレンジしていく、後者のような人材が必要なんです。
むしろ、ルネッサンスやシルクロードの時代を生きた人々が見本かもしてません。



指揮者の小沢征爾さんがウィーン国立歌劇場音楽監督に就任されたとのこと、すばらしいですね。
才能や能力を備えた連中の我侭を上手くまとめて合奏、協奏、交響曲へと、その気にさせる指揮者はすごいと思っていました。
歌劇の場合は更に演目、歌手、演出家、客演指揮者などを監督していかなくてはなりません。
「人をまとめ、その気にさせて組織を動かす人物」 は国でも、組織でも、事業でも、あらゆる社会の中で必要とされます。
CNNの質問に、I trust the orchestra. and The orchestra trust me. だと話していらっしゃいました。
しかし、まだ、すごい人々がいるんですね。
伝統と歴史の重みを誇りにしているオーストリア(ヨーロッパのドイツ語圏)の人々です。
人種や国籍を超え、極東のアジア人を、その最高の座に就かせる器量の大きさ、柔軟さ、懐の深さ、もう表現のしようがありません。
この人たちを地球人というのでしょう。

自動や他力ばかり求める時代のかなで、自力で達成したときの喜びは格別です。
有森有子さんがおっしゃっていた「自分を誉めてやりたい」気持ちになります。
また人間に生まれてきて自分の生き方や生き様の大切さを感じた一日でもありました。(西穂高岳登頂)



人との出会いは、新たな世界へと旅立たない限り、新たに起こり得るものではないと思っています。
出会いは、場所が、時間が、状況が、心が、共に一致しなければ起こり得るものではありません。
それが縁というものなのでしょう。
この世に人間として生まれてきて、僅か半世紀少々の時を共有し、この地球上で共存していることが何らかの運命だと考えれば、この人間社会の中で縁のない人は一人もいない。そんな気持ちです。



Page design by SUN-INFO system.