今回は花を観察する会のメンバーに参加させてもらった。
ごく一部分の探索だけでは早計だが北八ヶ岳は火山群の上にシラビが群生している。
岩の上に根を張っているためか、どうしても自重を支えきれずに倒木した木が目立つ。
そして、雨量が適切に補われているためだろう、苔が岩肌に群生している。
視界が広がる展望からは中部山岳の殆どが見渡せ、自前の美しさも加わり多くの自然愛好家に好かれる所以が分かる。

美術鑑賞は好きなので出かけると、入口付近がよく混んでいる。
多くの人は作品を鑑賞する前に解説文字による情報を先に自分の頭の中に入れてしまってから、作品を観に行く。
美術評論家が書いたことや作品名など、どうでもいいと思っている。
画家が選んだ色や形や流れなど、創造の段階での思いや、何を訴えたいのかなど
一つ一つの作品から視覚的に受ける印象を優先し、自分なりに想像する。
大切なことは自分が作品をどう思うかだ。
花に於いても同じような気がする。

花という作品一つ一つを細部にわたって観察してみると、まったく無駄がない。
とてつもない長い時間の中で厳しい環境と変化に対応してきた究極の姿なのだろう。
日光を最大限に浴びれるように葉を工夫し、
地下からの養分を効率よく吸収するように根を張って、
花は色や形や香りでアピールしながら受粉のチャンスを待っている。
動植物、多かれ少なかれ後世に自分の子孫を残すために相当な努力をしているが、 花も人も全く同じである。
天望台から広がった空を見上げていると、 地球上の全てのものが生命維持という普遍的な課題に取り組むよう、
宇宙のどこからか大きな力で支配されているような気がした。